コラム
Column
民事信託 第1回:【遺言 vs 民事信託】

「遺言」と「民事信託」の違い:生前の安心まで守る新しい備え
「将来に備えて遺言書を書いておけば安心」とお考えの方は多いでしょう。しかし、遺言書には大きな「死角」があることをご存知でしょうか。遺言書が効力を発揮するのは、あくまで「亡くなった後」です。もし亡くなる前に認知症などで判断能力が低下してしまった場合、遺言書ではご本人の生活や財産を守ることはできません。
ここで注目されているのが「民事信託(家族信託)」です。民事信託の最大の特徴は、元気なうちに資産の「管理権限」を信頼できる家族に託せる点にあります。例えば、ご本人の判断力が衰えて銀行口座が凍結されてしまったとしても、信託契約があれば受託者(お子様など)が代わって施設入所費や医療費を支払うことが可能です。
「死後の行き先」を決めるのが遺言なら、「生前から死後まで」をシームレスに支えるのが民事信託です。人生100年時代、いつまでも自分らしく、そして家族に負担をかけずに過ごすためには、この「空白の期間」への備えが欠かせません。遺言と信託、どちらが良いかではなく、両者を組み合わせることで、より強固な安心を形にすることができます。まずはご自身の不安がどちらの制度で解決できるのか、整理してみることから始めましょう。